お知らせ

第18回津田キャリア塾をZoomで開催しました

2022年3月5日、第18回津田キャリア塾をZoomで開催しました。首都圏に限らず広い地域から、又、幅広い世代の同窓生にご参加いただきました。

第一部は外交官として活躍される前田恵理様(1994年国際関係学科卒)のお話を伺いました。

マレー語の専門職員として外務省に入省された前田様にとって、留学に続き大使館勤務をされたマレーシアでの20代は、外交官としての素地が形成された時期だったとのことです。マレーシアのASEANでの立ち位置を肌で感じるなど多くの貴重なご経験をされました。

マハティール首相はじめ政治家、企業人、文化人等、世界の優れた人たちや、多様な考え方と価値観を持つ人たちと知り合いになれる素晴らしさを体感、「日本の勤労倫理に学べ」を主旨とする当時の東方政策を誇らしく思ったとのこと。又、98年のアジア通貨危機下のマレーシアを経済支援し、留学生を支えることができたことに、日本政府代表として達成感を味わわれました。

2-3年ごとの異動の中で、多岐にわたり変化に富む仕事をご経験、マレーシアのほかにインドネシア、バングラデシュの大使館に勤務されました。在留邦人を支援し、ジャカルタに進出する日本企業へ最新の情報を提供、バングラデシュでは、新しい国を作ろうとする熱い思いに触れられました。ジュネーブでは人権理事会における各国代表の根回しをし、日本本国では、東南アジア、南西アジア大洋州地域の交渉に尽力し、又、「野口英世アフリカ賞」創設に向けた制度設計に努められたそうです。

真摯に課題に向き合われるご姿勢がスピーチに窺えました。「ストレスがあっても常に学びの姿勢で前向きであれば得るものはある、仕事以外に没頭できるものがあれば解消できる」、「マレー語が自分の専門であり、機会をとらえて勉強し専門性に深みを持たせるよう心掛けている」、「外交上利害の一致は難しいけれど妥協点を見出すことが大切」、「日本の平和、国民の幸せを可能にする国際環境を作るためにいかに世界で味方を増やすかが外交」、「ソフトパワーの活用が大切、文化やスポーツの魅力は大切」、「日本を世界の人が好きになる、支持するように働きかけることが大切」。一つ一つの言葉に熱意が込められていました。

さらに、人と人とのつながりの大切さ、人生の転機となりご自身の成長の機会となった出産と子育てについてお話しされました。前向きに臨機応変に対応しながら、ご家族と過ごす時間を大切にされた様子が窺えました。子供は財産であり江戸時代の長屋のような環境で育てる意識が大切ではないか、とのご意見が続きます。

次世代に向けては、IT化が進んでも人と出会うことが大切ではないかと言及され、バーチャルな世界で満足する今の傾向を懸念、例えば現地の気候風土の中での飲食の楽しみも大切であり、海外の経験や、異文化への好奇心を持ち続けてほしいと述べられました。

前田様のスピーチは、地球規模で生きるヒントに溢れていました。広い視点、多様な価値観を持ち、常に学び続ける姿勢を持つことが大切であり、高等教育については、高度な専門知識の習得にとどまらず、様々な方向から考え、柔軟に問題を解決するスキルの習得が必要と語られました。人生の節目節目で複数の選択肢に悩むことがあっても、思い煩わず、「なるようになるさ」と柔軟な姿勢をもつことが大切との頼もしいメッセージで、スピーチは締めくくられました。

第二部の参加者交流タイムは、4~5名ずつのグループに分かれて自己紹介やディスカッションをしたあと、各グループの代表者が短くスピーチする流れです。今回のテーマは「前田様に質問したいこと」。男性の育児、「世界をリードする日本」の現状、海外赴任時の家族のこと、子どもの教育、海外ビジネスにおける折り合いの付け方、海外駐在に帯同する子どもへの配慮、交渉相手と向き合うコツ、今後のご自身の展望等。矢継ぎ早に続く各グループからの質問に、終始丁寧に明快にお答えいただきました。感銘を受けた図書を二冊ご紹介いただき(リー・クアンユー著『ザ・シンガポール・ストーリー』、マハティール著『マレー・ジレンマ』)、充実した時間は幕を閉じました。

次回も同窓生ならではの気楽な、でもためになる、そして楽しい会にしたいと思いますのでどうぞご期待ください。

〈会員専用頁もご覧ください〉

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講師の前田恵理氏

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