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トータルライフサポートをオンラインにて開催しました

トータルライフサポート 2023年1月21日(土)13:30~15:30
「インド医学から学ぶ健やかな毎日を送るヒント」(Zoom開催)
時信 亜希子 先生 : 博士(医学)、岡山大学病院・特任助教

1.自己紹介 2.インド留学について 3.アーユルヴェーダとは? 4.アーユルヴェーダの健康観  5.おすすめの健康法  6.鬼丸絵里子さん(時信さんの先輩)のお話

三月のとても寒い日の卒業式、白梅寮の寮母さんに着せてもらったという真紅のサリー姿で卒業証書を手に微笑んでいる時信さん。大学の近くの鍼灸院でのアルバイトがきっかけで東洋医学に傾倒し、学生時代は「インドかぶれ」のバックパッカーだったとか。
企業での2年間の勤めの後、インド政府奨学金留学生として6年間もインドのグシャラートの小さな町の一見primitiveともいえる寮に住み、アーユルヴェーダを学び、難解なサンスクリット語も克服。晴れて学士BAMS(Bachelor of Ayurvedic Medicine and Surgery)の学位を得て、日本で2人目のアーユルヴェーダ医師の資格を取得されました。その後さらに岡山大学で疫学を学び、現在は医学博士、研究職として岡山大学病院に勤務されています。
アーユルヴェーダとは、サンスクリット語のアーユス(Ayus/生命)とヴエーダ(Veda/科学)を組み合わせた「生命の科学」という意味です。
アーユルヴエーダは、中国医学、ユナニ医学(古代ギリシャ医学を起源とするイスラム圏の伝統医学)と並ぶ世界三大伝統医学の一つで、世界最古5000年の歴史を持つインド発祥の伝統医学で日本には中国大陸を通して伝わったと正倉院の資料に記されています。世界保健機関にも認定されている伝統医学の一つです。
インドのModi首相は、国民皆保険のないインドで貧しい人にもお金のかからない医療、アーユルヴェーダを国策として推進し、首相自ら設立した伝統医学省(Ayush省)が提示する方法でコロナ禍でも免疫力を高めるように推奨してきました。
アーユルヴェーダには8つの専門科(1内科学、2小児科、3鬼神学(精神科学)、4鎖骨より上の専門科、5外科学、6毒物学、7強壮学・不老長寿、8強精学)があり、7と8が健康増進・予防医学に分類されます。西洋医学が病気の症状を取り除く治療医学であるのに対し、アーユルヴエーダはより健康的に長寿や若さを保つことを目的とした予防医学なので、予防、治療、健康維持、美容の改善、不老長寿を究極の目標としています。
最も重要な概念はドーシャ(生命エネルギー・体を構成する3要素)理論で、風(VATAヴァータ)火(PITTAピッタ)水(KAPHAカパ)と呼ぶ3つの生命原理が生命現象と病気を支配すると考えます。その3要素のバランスによって一人一人の生まれ持った特質(体質・気質)Prakritiプラクリティが決まるので、アーユルヴエーダは自分のドーシャバランスを知るための「体質診断」から始まります。
自分の特質を知って自分にあった食物、運動、生活習慣、疾病予防を取り入れることで健康増進が図れ、快適な人生が送れるのです(元祖・個別化医療)。3つのドーシャがバランスよく働けば健康を維持できるが、アンバランスになると病気の過程が進行する。それぞれの特質によってかかりやすい疾患、症状に傾向があります。
アーユルヴエーダは個々人の(遺伝的に決定された)特質にあった健康法・アドバイスを提唱しますが、それを実践するのは自助努力にかかっているので「自分の健康は自分で守る」のが基本です。
「自分の健康は自分で守る。その方法を教えてくれるのがアーユルヴエーダ」

アーユルヴェーダ的健康とは、
・ドーシャのバランスがとれている
・アグニ(消化の火)が維持されている
・身体組織が正常に機能している
・老廃物が適切に排出されている
・霊性、感覚器官、精神すべてが健全な状態
アーユルヴエーダの施術(トリートメント)は数十種類ありますが、その中で代表的なものは、天然由来(植物、動物、鉱物)の内服薬・外用薬、オイルマッサージ、発汗療法、薬用油を頭、耳、鼻、眼などに垂らす、浄化療法(デトックス:浣腸療法、催吐法、瀉下法、瀉血(ヒルを使う)など。
アーユルヴェーダ的生活で、おすすめの日常的な健康法は、簡単!安全!安価!でめんどくさがり屋さんでも毎日続けられる。
1. 白湯を飲む(適温は60度位) 
2. 舌の清掃をする
3. 大便(大きなお便り)の観察

時信さんが4~5年前に日本アーユルヴエーダスクールで出会った国際関係学科の先輩、鬼丸さんからのメッセージとして、
ご自身の便秘が白湯のおかげでかなり改善された。舌の苔の厚さで体調が確認できるので大便の観察とともに自分の体調の日々のチェックをかかさないこと。自分の体調チェックからどのドーシャのバランスが崩れているのかを判断して対処法を考える。ほとんど香りのない太白胡麻油を使った耳のマッサージはストレスの軽減におすすめ。長く続けていれば自分でも気が付いていないのにいつの間にか良い効果が表れるということがあるということです。ただし「実践あるのみ!」

時信さんとのQ&Aから
・自分のドーシャを知るには?=ネットのアーユルヴエーダのセルフチェックシートから情報が得られる。
・白湯の飲み方は?=一回100~150mlを一日3~4回すするように飲むのが良い。
・舌の苔の状態でわかることは?=白っぽいと消化力が弱まっている。浅黒い、黄色い、青白いなどで身体の状態がわかる。舌の溝が深い、曲がっていると脊柱管に問題がある。
・良い便とは?=少し黄色がかった茶色。便器にべっとり付かない浮く便が良い。沈んでしまうと消化力が弱っている。

時信さんのお話を伺っていて、朝日新聞日曜版の「津田梅子が2人いれば」というタイトルの記事を思い出しました。
ご存じのように、梅子は英語の教育法を学ぶため2度目の留学をしたが、ブリンマー大学で生物学に傾倒しその才能を開花したにもかかわらず、官費留学の身であったこともあり帰国してその半生を女子教育へ捧げた。当時の日本では女性が科学者となる道が閉ざされていた時代だった。『もう一人梅子がいれば、米国で道を切り開き科学者を目指す日本女性のロールモデルになったのではないか。』
時信さんは生命学をご自分の意志で切り開いていった、「二人目の津田梅子」のお一人です。そんな勇敢なバイタリティーあふれる同窓生のお話が伺えたこと、アーユルヴェーダという世界を教示していただいたこと、大きな学びと感動でした。

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講師の時信亜希子氏

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