今年度6月6日に仙台ガーデンパレスで行われた仙台支部はぎの会の定例交流会についてご報告いたします。今回は、青森から青森県立保健大学講師の松崎良美(まつざきよしみ 英大58)様をお迎えし、津田塾大学在学中から継続して活動されてきた、「障害や事情があって学びづらさを感じているこどもたちを支援するプロジェクト」についてお話を伺いました。
演題:「〈学びの危機〉に対峙する 〜津田塾大学インクルーシブ教育支援室の取り組みから〜」
コロナ禍では様々な問題が浮き彫りになりましたが、中でも「学ぶ」環境が急に失われた子ども達の様子に心を痛めた大人は多かったのではないかと思います。特別な配慮が必要なお子さんたちはさらに厳しい現実に直面せざるを得ませんでした。松崎さんがコーディネーターを努める「まなキキプロジェクト」はこの危機を「学びの危機(まなキキ)」と捉え、2020年4月に活動をスタートさせました。これに先立ち、松崎さんは2015年の「津田塾大学インクルーシブ教育支援室(IEA)」の設立やその後の活動にも深く関わり、そこでの経験が現在の「まなキキ」の活動に大きく影響を与えています。講演は下記の内容で進められました。
1.まなキキ(学びの危機)・プロジェクトとは 〜ワクワクする学びの共有から家庭学習支援まで
2.まなキキ・プロジェクト前史 津田塾大学インクーシブ教育支援室について
3.まなキキ・プロジェクトの実際の活動
4.“社会”が学びの危機に対峙していくための仕組みづくりとして

「まなキキ」プロジェクトの最初の活動はコロナ禍で企業などから無償で提供された子ども達へのオンラインコンテンツを障害のある子ども達の使い心地を考えてより工夫のあるものにレビューすることから始まったそうです。そして、行き場を失った子ども達への支援を原点とし、そもそも何のために学校はあるの?学ぶって何?という気持ちになっていたかもしれない子ども達に、学びにはこんな面白いワクワクがあるよ、と少し年上のお兄さんやお姉さんが伝えられるといいという想いで様々な技術やノウハウを試行錯誤しながら作り上げていきました。現在「まなキキ」サイトは教科毎やその他諸々ワクワクするような記事が質・量ともに充実しており、YouTubeの「まなキキ」チャンネルには創意工夫に満ちた面白い動画が配信されています。また、地域社会とのコラボも重要な視点で、子ども達も一緒に地域の人々と交流しながら多くのことを学んでいる様子がうかがえます。みな「まなキキプロジェクト」の当事者たちの経験、知識、技術・研究、そして意欲に根ざした手作り感のある面白い教材ばかりです。障害などで学びづらさを抱えている子ども達へのオンラインの家庭学習支援体制も整えられています。このサイトは関心を持ったどなたでも利用することができます(Learning Crisis研究会 https://learningcrisis.net/ )。
参加した同窓生たちは皆真剣に聴かせていただき、講演が終わった後も、質疑応答や感想で話は尽きませんでした。中でも障害の「社会モデル」が意味する、「障害によって何かが制限されたりできなかったりするのは障害者に問題があると見なすのではなく、社会や制度など環境の側に問題があるとみなす視点」を例を挙げて分かりやすく説明いただき、理解が深まりました。また、「支援する側」対「支援される側」といったフラットではない関係性は持ちたくないと常に考えていらっしゃるという姿勢にも大変共感しました。
最後に活動の資金となっているまなキキブレンドのコーヒーもお話のように中身が濃く大変美味しくいただきました(https://manakiki.handcrafted.jp )

仙台支部 高橋加寿子、石森禎枝 sendai-chapter@tsuda-juku.org